先日の日本アムウェイへの業務停止処分のニュース。
誰もが人生のどこかで一度は勧誘を受けた事があるだろう超有名な歴史あるネットワークビジネス代表の会社。
昔、先輩から聞いた話では、アムウェイよりも実はミキプルーンが最初に日本で成功したネットワークビジネスだそう。
でも、ミキプルーンはずいぶん昔から新婚さんいらっしゃいのスポンサーで社名が先に有名になったので、ネットワークビジネスと思っている人は意外と少なかったりする。
ミキプルーンを親子で愛用している知り合いが昔いたけど、プロテイン、ビタミン剤、そして必ずミキプルーンを毎日摂っていると言っていた。
ミキプルーンは化粧品も作っていたけど、当時20代前半だった私にとってファンデーションが重すぎる印象だった。今使ったらちょうど良さそ。
10代の頃から周りでアムウェイの名前をよく聞くようになり、当時、アムウェイのビジネスは成人しないと始められないと聞いていて、大学4年の頃、高校の同級生の間で広まり始めた。
私にも様々な方面から同じ時期に色々な勧誘があった。
市販の洗剤やシャンプーがいかに人体や環境に害を及ぼしているか、普通の鍋は簡単に細かな傷がつくので、そこに染み込んで落ちにくい汚れが少しずつ健康に悪影響を及ぼしているとか、アムウェイの栄養補助食品は100%天然で、材料の栽培から無農薬にこだわっているとか。
健康オタクで昔から地球環境にも関心が高かった私にはドンピシャな売り文句だった。
実際、アムウェイの勧誘で食品添加物やシャンプーなどの化学的な洗浄剤のことを知り、私が「買ってはいけない」の本にハマるきっかけにもなった。
しかし、ビジネスとして自分でここの商品を売って高収入を得られるという話だけは、私にはさっぱりピンと来なかった。
いい商品をなぜ購入するだけではダメなのかが理解できなかった。
普通に欲しい物を欲しい分だけ店で買えたらそれでいいのに、ディストリビューターというものになるためにお金を払わなきゃならないのが腑に落ちない。
しかも、それになったらなぜかセミナーに頻繁に参加させられるらしい。
これが私には煩しく思えた。
また、全員がもれなく10万円くらいする鍋のセットや高額な浄水器を購入している…
私はお金も持たなかったし、学生なのにそんな高い鍋や浄水器を買うものだと平気で勧めるやり方に違和感しかなく、理解できない世界だとすぐに気づいた。
その後も、今日に至るまでにアムウェイに限らずあらゆるネットワークビジネスの勧誘を受けてきた。
ニューススキン、ハーバーライフ、ミキプルーン、スターライズ、、、
ほとんどが中学時代や高校時代の友人からの勧誘。
ニュースキンの勧誘は特に印象悪くて1番記憶に残っている。
ある夜、高校時代の同級生に呼ばれてファミレスに行くと、そこにたくさんの黒スーツの若い男女がわらわら入って来て、みんな互いに名刺交換を始めた。
「お互い知らない人どうしなんだ…」
と、ラフな私服の私は席に座って不思議な気持ちでその光景を眺めていた。
すると私の座っていたテーブルに、黒スーツ集団の中の女性2人が友人と一緒に座り、とにかく一緒に金を稼ごう!という話を勢いよく始めた。
アムウェイの勧誘と違って、この黒スーツ集団は、商品の良さよりも何よりも、稼げるシステムに乗らない人は貧乏な人生を選ぶ無知な人間だというようなマインドコントロールをされているフシがあり、異様だった。
私が、「別に人並みに会社入ってそこそこの給料貰えれば幸せだから」というと、何て夢のない平凡な人生観なのか、といったツッコミを入れてはみんなで嘲笑うのだ。
私は、ただポカーンとして、異次元な思考回路の人たち相手に何の反論もする気にならなかった。
こんなやり方で自分たちが成功すると思い込んでいる根拠があまりに薄く、この子らと同じビジネスをする気にはなれないと思った。
それから、そこにいた子たちのほとんどが大学を中退していたり短大出た後に就職せずネットワークビジネスを選んでいた。
私を誘った友人も、高校から専門学校に入ったが、就職せずにアンダーグラウンドなアルバイトをして過ごしていたクチだった。
その子は根はマジメな割に能天気なところもあって、そんな性格が私には魅力に映ったのだけど、能天気ゆえに易々とマインドコントロールに乗せられてしまって、本人はチャンスだと本気で信じてやる気に満ちていた。
私には、私を笑っていた子たち全員が、中途半端だった自分がチャンスを手にしてお金を稼ぐ目標に向かっているのだ!という勘違いで勢いづいているだけのように見えた。
黒スーツを着てニュースキンの社名の入った名刺を持ち歩いている理由は、「ビジネスは形から」と教わったからだそうだ。
明らかに自己啓発セミナーのようなところで洗脳された集団で説得力は全く無かった。
結果、私を勧誘したほぼ全員がネットワークビジネスを続けていない。
私が会ったニュースキンの数人も20代半ばに再会するとみんなやめていた。何人かはキャバ嬢を始めていた。
後に聞いた話では、黒スーツの集団の中では、初期投資しなくてはリターンは得られないという思想があり、毎月自分であらゆる商品を買い込んだり、関東で大きなセミナーが開かれるからと旅費を使って参加したりで散財し、借金が増えていった人も少なくなかったそうだ。
借金しても、頑張れば大きなリターンがあるというマインドにさせられていたようだ。
統一協会の場合もそうだけど、こういう若者の集まりに魅かれてしまう理由の一つには、友達や知り合いが沢山増えると勘違いしてしまうこともあると思う。
実際は、そのビジネスや宗教をやめたとたん、その人間関係は終わるのに、若いとなかなかそんな風に考えられないのは私も同じだった。
ネットワークビジネス界では報酬の高い人は成功者として崇められる。
カリスマ扱いで、そういう成功者が新しくビジネスに参加したての若者にセミナーを開いて儲けている。「凄い人に会える!」とよく誘われたものだ。
なカリスマ性はあるのかも知れないけれど、取り込まれて最初だけ大量に商品買っては財産使い果たして去って行く若者が後を絶たないおかげで、メーカーと一部のこういう人がずっと儲けられる仕組みに過ぎない。
芸能人をファンが支えているようなものかな。
最近は投資コンサルタントのようなビジネスも増えてきた。
息子たちには、世の中そんなに甘くないと教えるのに良い材料だ。