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真実の檻

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ミステリー小説マニアの夫に勧められて読んだ。

確かに超面白かった😊

 

えん罪事件がテーマのミステリー。

えん罪を生み出してしまう検察内部のシステムや被疑者、被告に対する検察官、裁判官の心理など、実際こういう感じなんだろうなぁとか思いながら、読んだ。

 

ところでちょうどこの小説を読み終わった頃、テレビで冤罪事件を再現した特集番組やってて、

そこに出演してた元検事が、検察庁の中で「冤罪」という言葉を聞いたことがない、って言ってた。

無罪になったときは、こちらの立証が足りなかったのだ、と考えるそうだ。

起訴した被告人が真犯人でないかも知れないという発想がないってことだ😰

なんだか、、一般常識とズレてて怖いな。

 

世の中、たくさんの凶悪な犯罪があるし、被害者や遺族の無念を晴らしてやりたいっていう正義感なのかも知れないけど、冤罪を生み出してはならないって意識は常に持っていてほしいものだ。

 

昔、ボスが受けた国選の刑事事件で、スピード違反で起訴されたけれど、本人は絶対にスピード違反はしていない、警察の測定ミスである、レーダーの誤作動であると無罪を主張していたケースがあった。

被告になった方は、知的な職業の方でパソコンで証拠資料を作成してきたり、言い分も説得力あるものだった。

 

レーダーで速度違反を測った警察官は道路に出てきて仁王立ちで両手を広げ、被告の車を停止させた👮‍♂️

そこで、正確な測定に必要な対象車とレーダーとの距離を示し、もしレーダーの測定範囲に車が入った時に検察主張の速度が出ていたなら、速度違反を目視してから警察官が道路へ出て来るまでにかかる時間が○秒、その間に車は○m進むので、車の前に飛び出し停止を促した警察官の手前で車が急停止できたはずはない!警察官が車の前に仁王立ち出来たのは、被告車両がその程度の速度しか実際は出ていなかったことを証明しているという主張🤔

 

私も裁判中にボスから話を聞きながら、一般人の感覚として、被告人の言ってることは筋が通ってる、無罪になるんじゃないか?って感じていた。

 

しかし、結果は有罪😠

起訴されると99.9%有罪の日本のご多分に漏れない結果だった。 

 

国選だと控訴審は他の弁護士が選ばれるんだけど、依頼者は控訴審もボスにお願いしたい、と私選に変えて引き続き闘った。

 

この事件の速度違反がどのくらいだったか覚えてないが、警察官が道路に飛び出して両手広げて「停まりなさい」と車に向かって立っていたってくらいだから、出しても時速50〜60km程度だったのではないかな(つまり法定速度)。それ以上の速度が出ていたなら、見た目にもみるみる警察官の方に近づいて来ただろうし、道路へ飛び出して停止を促すなんて出来ないと思うけど。前科も無く無事故無違反で、職業もホワイトカラーな一般市民が速度オーバーで起訴までされるなんて珍しい。このケースは、本人が計測ミスだと警察に言い張ったから起訴されたんだろう。

 

けど、裁判なんて時間も取られて仕事や日常の生活に影響大きい。

そこまでして控訴までも時間費やして本人が闘うのは、無罪を本人が確信してる証拠だと、私はこの被告人の話を信じた。

他のケースでは、無罪を主張してる被告人のこと内心疑っちゃってる私だけど(🤫)

 

刑事事件では、裁判官はほぼ検察目線だ😩という印象を持たずにいられない。

 

この裁判の後、ボスがお酒の席で話したことだけど、世の中、毎日たくさんの被疑事件が起きる、検察は証拠物やアリバイ、証言を集め、よほど有罪がとれる!という確証が持てない限りなかなか起訴をしない。それほど検察官は起訴に慎重なので、裁判官は検察官が起訴したのなら有罪に違いないだろうって考えがちだとか😥う〜ん…

 

私の勤める事務所は、基本的に刑事は国選で回って来たものしか受けない。

上のスピード違反の冤罪を闘った事件以外では、この小説のような、真犯人ではない!というえん罪事件は無く、「被害者の誤解です」とか、「私は第三者にはめられたんです」とか、「自分でクスリを使用したのではなく、意識を失っている間に知らない人に注射されたんです」😧とかいう、微妙に冤罪を争うものしか見たことない。

そして、、裁判は100%有罪になる🙄

 

小説にも出てくるが、裁判官の事件処理のこと、うちのボスがよくこぼしてる😓

私は弁護士ではないので法廷の傍聴は今まで民事の集団訴訟に3回くらい、刑事で1回程度で、裁判官の事件処理などよく知らないが、

日ごろ弁護士が言ってるのは、裁判官が判決を書きたくないから無理やり和解(これは民事事件、刑事裁判に和解はあり得ない)に持ち込みがちという話😥

 

裁判官は1人で大量の事件を担当する。弁論期日の傍ら、それぞれの事件で双方当事者が提出する主張書面やら証拠を大量に読み込んで、争点整理をしなきゃいけないから想像できないほどの忙しさだろう😔

 

しかし、こんだけ頑張って証拠出したのに、それっぽっち?って悲しくなる和解案を見ることもある。

 

特に交通事故😞

脊髄損傷でもない限り、被害者がゴネ過ぎだと見てるかのような低い和解案ばかり。

原告はお金が欲しいだけだから、ある程度の金額にしておけば満足だろう、被告(たいていは任意保険)は支払いを1円でも抑えたい、、で、このぐらいの和解金額なら双方呑むだろう…っていうやっつけな感じが透けている🙁

 

私が事務所入りたての頃はそこまであからさまな印象はなかった。

裁判官はそれぞれのケースごとに被害者の訴えや背景を考慮して、妥当な和解案を捻り出してくれていた。

自動車保険が弁護士費用特約を売り始めて交通事故の裁判が増えていると聞くから、このごろはバサバサ和解で捌いていきたい心境なのかな😵

 

しかも、和解を蹴ると判決で裁判官が若干報復してくることもあるとか…😳

 

控訴審で弁護士が1審判決を見直してもらおうと一生懸命に長い理由書を作り、証拠を整えて提出したって、1回目の期日で原判決と変わらない内容の和解を促す裁判官もいた。

裁判官は本当に理由書と証拠読んだんですかね??と思わず弁護士に尋ねたよアタシャ🤭

 

小説の話に戻るけど、ストーリーの鍵となる受刑者は、冤罪と言っても少し経緯が違い、そこがまたミステリアスで面白い。

 

この作家さんの小説が面白かったので、立て続けに夫のおススメを読んでみた。

「生還者」「失踪者」「闇に香る嘘」どれも良かった。

どの作品も最後に感動と🥺涙あり。